|
◆第2回◆
なぜいま憲法「改正」なのか?
(その2)改憲構想は何をねらうのか
この間続々と出されてきた政党や財界の改憲構想は、どのような特徴をもっているでしょうか? 改憲構想は、何をねらっているのでしょうか?
1.自衛隊を軍隊に狙いは派兵推進
この間の改憲構想に共通するものは、九条をかえて自衛権の保持を明確にし、自衛隊を正式の軍隊にすることです。「自衛」を強調してはいますが、ねらいは、自衛隊の海外派兵体制の推進・強化です。
日本経団連報告は、集団的自衛権と「同盟国への支援活動」を否定することは、「国際社会から信頼・尊敬される国家の実現の足枷(かせ)」だとして、アメリカへの追随と国際社会との協調を混同しています。
また、この四月四日に決定された自民党新憲法起草委員会の「各小委員会要綱」では、新憲法の前文に盛り込む「国の目標」のなかに、「地球上のいずこにおいても圧制と人権侵害を排除するための努力を怠らないこと」が含まれています。「圧制と人権侵害の排除」は、大量破壊兵器の開発・保有というイラク戦争の「大義」が崩れたのちに、アメリカのブッシュ政権が「フセイン政権打倒」の最後の口実として持ち出した言葉です。今、この言葉を日本が口にすることは、アメリカに対して地球の裏側までついていって一緒に軍事行動しますというメッセージになるでしょう。
2.大企業にとって有利な社会作り
自民党や財界は、なぜ、自衛隊の海外派兵体制を強引にすすめようとするのでしょうか? そこに「利」があると判断してのことだと思います。
日本経団連は、この間、アメリカとのミサイル防衛の共同開発に日本企業も関わりたいとして「武器輸出禁止三原則の緩和」を強く主張し、結局、昨年十二月の防衛計画大綱の閣議決定時に、政府にそれを認めさせました。宇宙兵器や核兵器の開発・生産に手を染める「死の商人」への(再びの)道を、日本の財界は進もうとしています。
同連合会は、一昨年頃から、「政策の評価」を軸とした政党への政治献金を会員企業に呼びかけるようになり、その「成果」が現れたともいえるでしょう。「政策の買収」は、カネを出す側からすれば、もっとも効果的・効率的な買収であり、政治腐敗としてみれば、最悪・究極の形態です。それは、財界の余裕のなさも示すものです。
こういう「ゴリ押し」ともいえる手段で、財界はいかなる国家・社会を作ろうとしているのでしょうか?
昨年十一月の自民党憲法調査会の「たたき台」は、財界要求をストレートに反映させたものといえます。そこでは、プライバシーや知る権利などの「新しい権利」については、結局それを具体化する法律次第という態度をとり、その保障には概して冷淡です。
また、「企業の経済活動の自由」の項目を独自に設けようとしています。これでは、大企業の横暴は今よりもひどくなるばかりです。
さらに、社会権は、すべて国家の「プログラム」(政策目標)にしてしまい、その権利性を弱めようとしています。国民の「社会的費用負担の責務」の規定を盛り込むことで、社会保険における「保険料の支払いなければサービス給付なし」を強めようともしています。
みなさん、このような構想に、私たちの未来を託すことができますか? 私は、とうていできないと思います。
(小沢隆一、2005年4月25日「平和新聞」1766号掲載)
|